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損害賠償責任

自動車事故の責任主体

誰が交通事故の損害賠償責任を負うのかの見極めと検討が大切です。

損害賠償責任の法的根拠
①不法行為責任(民法709条)
②使用者責任(民法715条)
③運行供用者責任(自賠法3条)
④国家賠償責任(国家賠償法1条)
⑤債務不履行責任(安全配慮義務違反等)

被害者は誰に損害賠償責任を追及できるでしょうか。

被害者━━━━加害者本人(民法709条・債務不履行責任)
    ┃  会社(使用者) 加害者が仕事中に事故を起こせば使用者(会社)も責任を負う。
    ┃  運行供用者   自分の支配下にある自動車の運行によって利益を得ている者は責任を 負う。
    ┗  親権者(民法714条) 子に責任能力のない場合

誰が交通事故による損害賠償責任を負うのかQ&Aで具体的に検討しましょう。
Q 信号待ちで自動車を停止させていたところ、後方から建設会社のトラックに追突され、頸椎捻挫の受傷を負った場合、誰に責任追及できますか。
A 
現に運転していた加害従業員及び建設会社いずれにも請求できます。
従業員には会社の実質的な
指揮監督関係があり、運転は事業の執行についてのもので、会社は使用者責任を負います。
加害者が使用・被用関係にあるか注意して確認しましょう。
Q 運転免許を取得している未成年者が起こした事故は誰が責任を負うのでしょうか。
A 
親権者の監督者責任が問題となります。この場合、未成年者に責任能力(12歳程度)があり、親権者は原則として監督者責任を負いません。当該未成年者自身が負います。しかし、親権者に独自の監督義務違反があれば親権者に責任追及できます。子の自立、親の車両管理、運転等に対する親の態度など総合考慮して監督義務違反を判断します。

また、親が自動車を買い与え、保険料その他経費を負担し、子と親が同居している等の事情のもとでは、親権者に
運行供用者責任が生ずることにも注意してください。
Q マイカー通勤中の会社員に自動車を衝突され足の骨を折った場合、その会社にも責任追及できますか。
A 
原則的には会社は、使用者責任及び運行供用者責任を負いません。従業員個人の責任となる可能性が高いです。
使用者責任が認められるためには、会社の業務との関連性(事業執行性)が必要です。また、会社の運行供用者責任は、会社に運行の支配、運行の利益が認められるか検討する必要があり、この点から責任追及を検討しましょう。
Q 自動車に衝突され傷害を負いましたが、加害者はその自動車を友人Yから行楽のため一時無償で借りていたものでした。Yに責任追及できますか。
A 
貸与の目的、貸与の期間の長短、対価の有無、貸主と借主との関係等の諸事情を総合考慮し、貸主に運行の支配と運行の利益の帰属を検討して判断する。
結果としては使用貸借による貸与は、
運行支配と運行利益が肯定されやすく、Yの運行供用者責任が肯定される可能性が高いでしょう。
Q 酒を飲み運転代行業者に迎えに来てもらいました。ところが代行業者が事故を起こし負傷してしまいました。自分の所有する自動車に乗車中の事故ですがその責任追及はできますか。
A 
運転代行業者は安全配慮義務があります。その義務違反を債務不履行責任として業者に損害賠償を追及できます。
もちろん自分(運行供用者である)よりも代行業者に運行支配と運行利益が強いので運行供用者責任も追及できます。
Q 違法駐車の車を避けようとして事故を起こした場合、その責任追及はどうですか。
A 
運行供用者責任を違法駐車していたものに追求できます。
自動車の路上駐車は「
運行」といえるからです。
Q 乗車中のタクシーが赤信号で停車した前車の発見が遅れたことから、急ブレーキをかけたため乗客が負傷しました。誰にどのような責任を追及できるでしょうか。
A 
タクシーの運転者に不法行為責任(民法709条)。
タクシー
会社に運行供用者責任及び使用者責任(民法715条)を追及できます。このほか、タクシー会社に対して安全に目的地まで運ぶという契約上の義務(旅客運送契約ないし安全配慮義務)違反にもとづく損害賠償責任を問える可能性もあります。

どの責任を追及してもかまいませんが、損害賠償を二重に受けられるわけではありません。
契約責任追及の場合は、消滅時効の点で被害者に有利です。

運行供用者責任(自賠法3条)

運行供用者責任とは、自己のために自動車を運行の用に供する者が、その自動車の運行によって他人の生命、身体を害したときに負う責任。
一般の不法行為責任とは異なり、故意過失を責任発生要件とはしておらず、また、人身損害に対する損害のみで、物損には適用されません。

運行供用者とは。
自動車を自分のために自分の支配のもとで使うことが出来る状況にあって、自動車を運行することが自分の利益となる者をいいます。

EX 加害車両の所有者、レンタカー業者、使用貸借の貸主、代行運転の依頼者などは一般に運行供用者にあたりえます。

免責要件(運行供用者が責任を免れるための要件)

①自己または運転者が十分な注意義務を尽くしたこと
②被害者または第三者に故意.過失のあったこと。
③自動車に構造上の欠陥または機能上の障害のなかったこと。

この3点すべてに加害者が立証しなければならず、この立証は困難で、無過失責任に近い責任を加害者側に負わせています。

では、具体例をQ&Aで見ていきましょう。
解釈上問題となる点は、「運行供用者」「他人」「運行」の意味内容と具体的事案への当てはめです。

Q 車を盗まれてしまいましたが、その窃盗者が人身事故を起こしてしまいました。所有者である私Xは責任を負いますか。
A 
この場合原則、Xは運行供用者責任を負いません。車の運行を指示制御すべき立場になく、運行支配がないからです。
ただ、所有者Xに車両盗難に過失がある場合(出入り自由な駐車場にキーをつけっぱなしで無旋錠のまま駐車など)は、運行供用者責任が認められることになります。
Q 私は、自動車販売のディーラーに勤務しているYに車を衝突されました。加害者は、外交販売員をしており、営業で出かけるとき、社員個人の自動車を利用していたのです。自動車販売会社に損害を請求できるでしょうか。
A 
自動車を実質的にどのように利用されていたかが重要な判断資料になります。
すると、社員個人の車でも、会社がガソリン代を負担していたり、保険料の一部を負担していたりすると運行供用者としての責任を負い、あなたは会社に損害賠償できるでしょう。
Q 先日赤信号で停車していたらタクシーに追突され頸椎捻挫の受傷及び車を損傷しました。しかしタクシーを運転していたのは、そのタクシー会社の従業員ではなく、会社の役員Zが仕事で目的地に行くためその友人に運転を頼んでいたというのです。この場合でも会社に損害を賠償できますか。
A 
確かに運転者は友人であって会社の従業員ではないですが、同乗していた会社の役員Zが仕事で目的地に行くため使用しています。会社の支配にありますし、会社の利益のための運行といえます。よって会社は運行供用者にあたり責任を負います。
運行供用者責任は人身事故について賠償するので、物損には適用されません。車の修理費については別途使用者責任(民法715条)を追求していくのが妥当でしょう。
Q 学生A、X及びYが自動車の運転の練習をするため、交代しながら運転する目的をもって共同でレンタカーを借り,Yが運転中に事故を起こし、同乗のXが死亡した。Xの相続人はYに損害賠償を請求できるか。Yは運行供用者責任の「他人」の生命を害したと言えるかが問題となります。
A 
Xは自動車の運転という共同目的をYと有しているが(他人性を否定する事情)、さらに実際にXとYが交替して運転したり(他人性を否定する事情)、レンタカー費用を負担していたり、Yに行き先などを指示していたような場合、Xは「他人」に当たりません。このような場合はYに運行供用者責任がないでしょう。
Q 大型トラックを、夜間、駐車禁止場所でYが駐車し、車内で仮眠をとっていたところ、深夜で霧もかかっていて見通しが悪く、同トラックの発見が遅れ、Xは運転車両を追突させてしまい、傷害を負いました。XはYに運行供用者責任を追及できますか。
A 
自動車が道路上に駐車している場合も自賠法3条の「運行」状態にあると考えられます。そして駐車場所(駐車禁止場所)、見通し状況、事故発生時間(夜間かどうか)の個別事情を考えると、当該駐車は身体傷害との間に相当因果関係があるといえます。XはYに運行供用者責任を追及できるでしょう。
Q 好意で同乗させ、同乗者にけがをさせてしまいました。運転者である私は賠償責任を負うのでしょうか。
A 
他人とは、当該自動車の運行供用者、運転者(運転補助者)以外の者だからです。すると運行供用者責任(自賠法3条)の「他人」に同乗者は原則として当たります。損害賠償責任を負うことになります。 同乗者と運転者という関係で運行支配の程度や態様を比較して、被害を受けた運行供用者の他人性を判断します。この点から例外的に他人に当たらない場合もあります。 そして、好意同乗からただちに減額されませんが、例外的に好意同乗減額される場合もあります。たとえば、飲酒など事故発生の危険が高いような事情があるのを知りながら同乗した場合、スピード違反など同乗者が事故発生の危険性を増大させる状況を作った場合です。

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